借地上の建物の滅失と再築の重要ポイントと解説

借地上の建物の滅失と再築のポイント一覧

  1. 最初の契約期間中に建物が滅失した場合、地主の承諾がなくても再築でき、期間満了の際に建物があれば、法定更新される
  2. 1度以上、契約更新した後に建物が滅失した場合、地主の承諾や裁判所の許可がなく再築(無断再築)すると、地主は、正当な事由なく解約申入れができ、その日から3ヶ月後に借地権が消滅する

 
借地上の建物の滅失と再築の流れ

最初の契約期間中に地主に再築の承諾を求めた結果

地主(借地権設定者)が承諾した場合

再築できます。
借地権の存続期間は、「承諾があった日」と「建物を再築した日」の
どちらか早い方から20年間延長

地主が承諾しなかった場合

再築できます
ただし、当初の契約期間で終了するが、建物が存在していれば、法定更新される。

建物がなければ、法定更新はなく、借地契約はそのまま終了

地主に承諾を求めたが確答がない場合

再築できます
地主が借地権者からの通知を受けて、2ヶ月経過後しても確答しないときは、地主の承諾があったものとみなします

更新した後の契約期間中に地主に再築の承諾を求めた結果

地主が承諾した場合

再築できます。
借地権の存続期間は、「承諾があった日」と「建物を再築した日」の
どちらか早い方から20年間延長

地主が承諾しなかった場合

借地権者が残存期間を超えて存続する建物を再築すると、地主地上権の消滅請求賃貸借契約の解約申入れを行うことができ、申入れから3ヶ月後に借地権が消滅します。
ただし、借地権者を保護するため、やむを得ない事情があるときには、地主の承諾に代わる裁判所の許可を得ることができます。

地主に承諾を求めたが確答がない場合

最初の契約期間中のような規定はありません。
それゆえ、地主の承諾もしくは、裁判所の許可がなければ、再築はできません

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借地上の建物の滅失と再築の問題一覧

■問1
借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失し、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を建築した場合、借地権設定者が異議を述べない限り、借地権は建物が築造された日から当然に20年間存続する。 (2013-問12-4)

 

答え:誤り

借地権の存続期間満了前に建物が滅失した場合、
①借地権設定者が承諾すれば、借地権は築造された日または承諾の日のいずれか早い方から20年存続することになります。
②借地権者の通知したにもかからず、借地権設定者が2ヶ月以内に異議を述べなかった(確答しない)場合にも、承諾があったものとみなされ、借地権は、承諾日または築造日のいずれか早い日から20年間存続します。

本問、「築造された日から当然に20年間存続」が誤り。そもそも借地権設定者の承諾がないかもしれません。

このルールは、「当初の存続期間中の建物滅失の場合」も「更新後の存続期間中の建物滅失の場合」も同じです。


■問2
賃貸借契約の更新の後において、借地権者が残存期間を超えて残存すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。 (2011-問11-2)

 

答え:正しい

契約更新後に、借地権者が残存期間を超えて残存すべき建物を新たに築造することにつき、やむを得ない事情があるにもかかわらず、地主が承諾しない場合は、借地権者の申立てにより、裁判所が地主の代わりに許可を与えることができます。

本問はしっかり理解しなければいけないので、「個別指導」では理解するための解説を用意しています!


■問3
借地権の当初の存続期間中に借地上の建物の滅失があった場合で、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借契約の解約の申入れをすることができる。 (2009-問11-1)

 

答え:誤り

借地権の当初の存続期間内の建物滅失の場合には、借地権者(建物所有者)は借地権設定者(地主)の承諾なしに建物の再築ができます。そして、承諾を得ないで、残存期間を超えて存続する建物を再築したとしても、借地権設定者は地上権の消滅請求または、賃貸借の解約の申し入れはできません。したがって、本問は誤りです。

この問題は非常に混乱しやすい部分ですよね!?でも、安心してください!

ここは覚えるというよりは、イメージできれば、答えは導けるようになります。

なので、「個別指導」では、どのようにイメージするのかを解説しています!

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