平成30年(2018年)問6/宅建過去問

Aが所有する甲土地上にBが乙建物を建築して所有権を登記していたところ、AがBから乙建物を買い取り、その後、Aが甲土地にCのために抵当権を設定し登記した。この場合の法定地上権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1.Aが乙建物の登記をA名義に移転する前に甲土地に抵当権を設定登記していた場合、甲土地の抵当権が実行されたとしても、乙建物のために法定地上権は成立しない。

2.Aが乙建物を取り壊して更地にしてから甲土地に抵当権を設定登記し、その後にAが甲土地上に丙建物を建築していた場合、甲土地の抵当権が実行されたとしても、丙建物のために法定地上権は成立しない。

3.Aが甲土地に抵当権を設定登記するのと同時に乙建物にもCのために共同抵当権を設定登記した後、乙建物を取り壊して丙建物を建築し、丙建物にCのために抵当権を設定しないまま甲土地の抵当権が実行された場合、丙建物のために法定地上権は成立しない。

4.Aが甲土地に抵当権を設定登記した後、乙建物をDに譲渡した場合、甲土地の抵当権が実行されると、乙建物のために法定地上権が成立する。


 

 

 

 

 

 

【答え:1】


1.Aが乙建物の登記をA名義に移転する前に甲土地に抵当権を設定登記していた場合、甲土地の抵当権が実行されたとしても、乙建物のために法定地上権は成立しない。

1・・・誤り

法定地上権の成立要件

① 抵当権設定当時、土地と建物の両方が存在し、同一所有者である
② 土地と建物のどちらか一方、または、両方に抵当権が設定された
③ 抵当権の実行により、土地と建物の所有者が異なった

本問は法定地上権が成立するか否かを問う問題なので、法定地上権が成立要件を考えればよいです。

平成30年問6-1:宅建過去問解説

そして、本問は、抵当権を設定したとき、「甲土地の所有者はA」「乙建物の所有者はA」です。
乙建物の登記はB名義ですが、法定地上権を考える場合、実質的所有者で判断し、登記の名義人では判断しない

したがって、抵当権設定当時、土地と建物の所有者は同一なので、要件1を満たします。
そのため、本肢の「法定地上権は成立しない」は誤りです。

この問題は、問題文の理解が非常に重要なので、個別指導では、問題文の理解についても解説します!


2.Aが乙建物を取り壊して更地にしてから甲土地に抵当権を設定登記し、その後にAが甲土地上に丙建物を建築していた場合、甲土地の抵当権が実行されたとしても、丙建物のために法定地上権は成立しない。

2・・・正しい

平成30年問6-2:宅建過去問解説

本問は法定地上権が成立するか否かを問う問題なので、法定地上権が成立要件を考えればよいです。

そして、本問は、抵当権を設定したとき、「甲土地の所有者はA」で、甲土地上に建物は存在しません。(取り壊したから)

したがって、抵当権設定当時、土地と建物の一方が存在していないので、要件1を満たしません

そのため、法定地上権は成立しません。
ゆえに、本肢は正しいです。


3.Aが甲土地に抵当権を設定登記するのと同時に乙建物にもCのために共同抵当権を設定登記した後、乙建物を取り壊して丙建物を建築し、丙建物にCのために抵当権を設定しないまま甲土地の抵当権が実行された場合、丙建物のために法定地上権は成立しない。

3・・・正しい

平成30年問6-3:宅建過去問解説

共同抵当建物を再築した場合、原則、法定地上権は成立しません

例外的に、新建物(丙建物)の所有者が土地の所有者Aと同一であり、かつ、新建物が建築された時点での土地の抵当権者Cが新建物について土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けた場合は、法定地上権が成立します。

このルールに従うと、丙建物に土地の抵当権と同順位の共同抵当権は設定されていないので
原則通り、法定地上権は成立しません。

この問題は理解する必要があるので、個別指導で細かく解説します!


4.Aが甲土地に抵当権を設定登記した後、乙建物をDに譲渡した場合、甲土地の抵当権が実行されると、乙建物のために法定地上権が成立する。

4・・・正しい

平成30年問6-4:宅建過去問解説

本問は法定地上権が成立するか否かを問う問題なので、法定地上権が成立要件を考えればよいです。

そして、本問は、抵当権を設定したとき、「甲土地の所有者はA」「乙建物の所有者はA」です。

その後、乙建物をAがDに売却していますが、
法定地上権の成立要件の土地建物の所有者は「抵当権設定当時」で判断するので
Dに譲渡しても関係ありません。

そのため、甲土地の抵当権が実行された場合、乙建物のために法定地上権が成立します。

令和6年度 個別指導開講

平成30年度(2018年)宅建試験・過去問

問1
意思表示
問2
代理
問3
停止条件
問4
時効
問5
事務管理
問6
法定地上権
問7
債権譲渡
問8
賃貸借(判決文)
問9
相殺
問10
相続
問11
借地権
問12
借家権
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
国土利用計画法
問16
都市計画法
問17
都市計画法(開発許可)
問18
建築基準法
問19
建築基準法
問20
宅地造成等規制法
問21
土地区画整理法
問22
農地法
問23
登録免許税
問24
不動産取得税
問25
不動産鑑定評価基準
問26
広告
問27
建物状況調査
問28
業務上の規制
問29
8種制限
問30
報酬
問31
報酬計算(空き家等の特例)
問32
監督処分
問33
媒介契約
問34
37条書面
問35
35条書面
問36
免許
問37
クーリングオフ
問38
手付金等の保全措置
問39
35条書面
問40
業務の規制
問41
免許の要否
問42
宅建士
問43
営業保証金
問44
保証協会
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物
宅建試験の個別指導の募集終了まであと7名
宅建通信に関する相談はこちら