平成29年(2017年)問2/宅建過去問

所有権の移転又は取得に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1.Aの所有する甲土地をBが時効取得した場合、Bが甲土地の所有権を取得するのは、取得時効の完成時である。

2.Aを売主、Bを買主としてCの所有する乙建物の売買契約が締結された場合、BがAの無権利について善意無過失であれば、AB間で売買契約が成立した時点で、Bは乙建物の所有権を取得する。

3.Aを売主、Bを買主として、丙土地の売買契約が締結され、代金の完済までは丙土地の所有権は移転しないとの特約が付された場合であっても、当該売買契約締結の時点で丙土地の所有権はBに移転する。

4.AがBに丁土地を売却したが、AがBの強迫を理由に売買契約を取り消した場合、丁土地の所有権はAに復帰し、初めからBに移転しなかったことになる。


 

 

【答え:4】


1.Aの所有する甲土地をBが時効取得した場合、Bが甲土地の所有権を取得するのは、取得時効の完成時である。

1・・・誤り

所有権を取得するのは、取得時効の完成時ではなく、「占有をはじめた日」です。

Bが甲土地(Aの所有地)を平成10年1月1日から占有を開始して、その後、平成30年1月1日になり時効が完成したとします。

この場合、Bは平成10年1月1日に遡って所有権をしたことになるわけです!

具体例を考えれば分かりやすいですよね!

個別指導では、できるだけ具体例を出して解説していくので、実力も上がりやすいです! 単に覚えるのではなく、理解していきましょう! そうしないと、本試験では点数が取れません!

 


2.Aを売主、Bを買主としてCの所有する乙建物の売買契約が締結された場合、BがAの無権利について善意無過失であれば、AB間で売買契約が成立した時点で、Bは乙建物の所有権を取得する。

2・・・誤り

A―(C所有乙建物)→B

Aは無権利者です。したがって、譲受けたBも無権利者となります。 つまり、無権利者であるBは善意無過失であったとしても、乙建物の所有権を主張できません(取得できない)。

この点については、「他人物売買」なども絡んできて理解できていない人が多いです。 なので、この点については個別指導で細かく解説します!

 


3.Aを売主、Bを買主として、丙土地の売買契約が締結され、代金の完済までは丙土地の所有権は移転しないとの特約が付された場合であっても、当該売買契約締結の時点で丙土地の所有権はBに移転する。

3・・・誤り

本肢はいつ、所有権が移転するか?を質問しています。

所有権が移転する時期について「何の合意もしていない場合(所有権の移転時期を決めていない場合)」売買契約を締結した時に、所有権は売主から買主に移転することになります。

一方、「所有権の移転時期を決めた場合」は、その時期に移転することになります。

不動産のように高額な物の売買の場合、代金はまだ支払われていないのに、契約締結と同時に所有権が買主に移転するのでは、売主としても不安です。

そのため、本問のように「代金の完済までは丙土地の所有権は移転しない(=完済と同時に所有権を移転する)」とする合意がなされることが多いです。

「同時履行の抗弁権」でも勉強した通り、お金を払うまで土地を引渡さないことができることから考えても本肢が誤りと導けます。

 


4.AがBに丁土地を売却したが、AがBの強迫を理由に売買契約を取り消した場合、丁土地の所有権はAに復帰し、初めからBに移転しなかったことになる。

4・・・正しい

強迫による意思表示は、後で取り消すことができます。つまり、AがBから強迫を受けて、「丁土地を売ります。。。」といったとしても後で、Aは「Bから強迫を受けていたので取り消します!」とAB間の売買契約を取り消すことができます。

この場合、始めの強迫による売買契約も有効なので、一旦、丁土地の所有権はBに移り、その後、取り消しにより、所有権はAに戻ります(=復帰する)。

そして、取り消しがされると、始めからなかったことになるので、「初めからBに移転しなかったことになる」わけです。

令和6年度 個別指導開講

平成29年度(2017年)宅建試験・過去問

問1
代理(復代理)
問2
物権変動
問3
共有(判決文)
問4
民法の条文
問5
売買契約
問6
相続
問7
請負
問8
連帯債務
問9
法定相続分
問10
不動産質権・抵当権
問11
借地権
問12
借家権
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
農地法
問16
都市計画法
問17
都市計画法
問18
建築基準法
問19
建築基準法
問20
宅地造成等規制法
問21
土地区画整理法
問22
その他法令
問23
所得税
問24
固定資産税
問25
地価公示法
問26
報酬
問27
瑕疵担保責任の特約制限
問28
業務上の規制
問29
監督処分
問30
宅建業法総合
問31
8種制限総合
問32
営業保証金
問33
重要事項説明
問34
業務上の規制
問35
帳簿,従業者名簿
問36
免許
問37
宅地建物取引士
問38
37条書面
問39
営業保証金と保証協会
問40
37条書面
問41
35条書面
問42
広告規制
問43
媒介契約
問44
免許
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物
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