平成28年(2016年)問11/宅建過去問

Aが居住用の甲建物を所有する目的で、期間30年と定めてBから乙土地を賃借した場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、Aは借地権登記を備えていないものとする。

1.Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。

2.Aが甲建物を所有していても、登記上の建物の所在地番、床面積等が少しでも実際のものと相違している場合には、建物の同一性が否定されるようなものでなくても、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたEに対して、Aは借地権を対抗することができない。

3.AB間の賃貸借契約を公正証書で行えば、当該契約の更新がなく期間満了により終了し、終了時にはAが甲建物を収去すべき旨を有効に規定することができる。

4.Aが地代を支払わなかったことを理由としてBが乙土地の賃貸借契約を解除した場合、契約に特段の定めがないときは、Bは甲建物を時価で買い取らなければならない。


 

 

 

 

 

 

【答え:1】


Aが甲建物を所有していても、建物保存登記をAの子C名義で備えている場合には、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたDに対して、Aは借地権を対抗することができない。

1・・・正しい

A:借地権者(土地の借主)
B:借地権設定者(土地の貸主・地主)

本肢は、借地権者がAで、借地上建物の名義人がCです。
借地権を第三者に対抗する場合、「借地権者」と「借地上建物の名義人」は同じでないといけません。
したがって、所有権移転登記を備えたD(対抗要件を満たしたD)に対して、Aは借地権を対抗することができないので正しいです。

ちなみに、借地権を第三者に対抗できる場合は3つあります。

  1. 借地権の登記
  2. 借地上建物の登記借地権者本人名義であること)
  3. 掲示による対抗(建物が滅失した場合、その旨を掲示している:滅失した日から2年間対抗力を持つ)

Aが甲建物を所有していても、登記上の建物の所在地番、床面積等が少しでも実際のものと相違している場合には、建物の同一性が否定されるようなものでなくても、Bから乙土地を購入して所有権移転登記を備えたEに対して、Aは借地権を対抗することができない。

2・・・誤り

借地権を第三者に対抗するための「借地上建物の登記」について
建物の登記上の所在の地番や床面積等が、表示と多少、違っていても、建物の同一性が確認できる程度の軽微な違いであれば、問題なしとして、対抗要件を満たします


AB間の賃貸借契約を公正証書で行えば、当該契約の更新がなく期間満了により終了し、終了時にはAが甲建物を収去すべき旨を有効に規定することができる。

3・・・誤り

「更新がなく期間満了により終了し、終了時にはAが甲建物を収去すべき旨を有効に規定する」 ということは、定期借地権にする必要があります。

定期借地権は「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」があります。

建物譲渡特約付き借地権とは、期間満了後に、借地上の建物を地主に相当対価で譲渡することにより、借地権を消滅させるものなので、これに当てはまりません。そうなると、「一般定期借地権」と「事業用定期借地権」のどちらかになります。

一般定期借地権」は、存続期間を50年以上で設定する必要があり、本肢は30年なのでこれも満たしません。

次に、「事業用定期借地権」は、「居住用建物」所有を目的とする場合は設定できません
したがって、これも満たしません。

つまり、定期借地権にすることはできないので、本肢は誤りです。


Aが地代を支払わなかったことを理由としてBが乙土地の賃貸借契約を解除した場合、契約に特段の定めがないときは、Bは甲建物を時価で買い取らなければならない。

4・・・誤り

賃借人の債務不履行によって契約が終了した場合には、建物買取請求権は認められないので本肢は誤りです。

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平成28年度(2016年)宅建試験・過去問

問1
民法の条文
問2
制限行為能力者
問3
意思表示・対抗関係
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問5
債権譲渡
問6
契約不適合責任
問7
賃貸借・使用者責任
問8
転貸借
問9
判決文
問10
相続
問11
借地権
問12
借家権
問13
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問14
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問16
都市計画法
問17
都市計画法
問18
建築基準法
問19
建築基準法
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土地区画整理法
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問39
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問41
業務上の規制
問42
37条書面
問43
8種制限
問44
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問45
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問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計
問49
土地
問50
建物
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