平成27年(2015年)問34/宅建過去問

宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結する場合における次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1.Cが建物の所有権を有している場合、AはBとの間で当該建物の売買契約を締結してはならない。ただし、AがCとの間で、すでに当該建物を取得する契約(当該建物を取得する契約の効力の発生に一定の条件が付されている。)を締結している場合は、この限りではない。

2.Aは、Bとの間における建物の売買契約において、「その建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合に、当該不適合についてBがAに通知すべき期間を建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、当該不適合についてBがAに通知すべき期間は、当該建物の引渡しの日から2年間となる。

3.Aは、Bから喫茶店で建物の買受けの申込みを受け、翌日、同じ喫茶店で当該建物の売買契約を締結した際に、その場で契約代金の2割を受領するとともに、残代金は5日後に決済することとした。契約を締結した日の翌日、AはBに当該建物を引き渡したが、引渡日から3日後にBから宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除が書面によって通知された。この場合、Aは、契約の解除を拒むことができない。

4.AB間の建物の売買契約における「宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、AからBに対して損害賠償を請求することができる」旨の特約は有効である。


 

 

 

 

 

 

 

【答え:3】


Cが建物の所有権を有している場合、AはBとの間で当該建物の売買契約を締結してはならない。ただし、AがCとの間で、すでに当該建物を取得する契約(当該建物を取得する契約の効力の発生に一定の条件が付されている。)を締結している場合は、この限りではない。

1・・・誤り

平成27年問34-1:宅建過去問

原則、宅建業者は「自己の所有に属しない宅地建物」について、自ら売主(買主:宅建業者以外)として売買契約を締結してはいけません。 したがって、本問の前半部分「宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者でないBとの間で建物の売買契約を締結する場合において、Cが建物の所有権を有している場合、AはBとの間で当該建物の売買契約を締結してはならない。」は正しいです。

しかし、その後の「ただし」以降が誤りです。停止条件が付いている場合も原則通り、売買契約を締結してはいけないので、本問は誤りです。

本問の細かい言葉の使い方(言い回し)について別途解説が必要でしょう!なので、「個別指導プログラム」では、問題文の言い回しについて詳しく解説しています!また、本問の停止条件に関するルールも重要なので、その点もイメージできるように解説しています!!


Aは、Bとの間における建物の売買契約において、「その建物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合に、当該不適合についてBがAに通知すべき期間を建物の引渡しの日から1年間とする」旨の特約を付した。この場合、当該特約は無効となり、当該不適合についてBがAに通知すべき期間は、当該建物の引渡しの日から2年間となる。

2・・・誤り

まず、宅建業者Aが売主、非宅建業者Bが買主なので、8種制限の適用があります。
そして、原則、宅建業者は、自ら売主(買主:宅建業者以外)となる売買契約において、 「民法の契約不適合責任」の規定よりも買主に不利となる特約はしてはいけません。ただし、例外として、契約不適合に関する通知期間を、「物件を引渡した日から2年以上」とする特約は有効です。

本問の「引渡しから1年間とする」特約は、「引渡してから2年間」より短く買主にとって不利な特約です。 したがって、本特約は無効です。
そして、特約が無効となると、民法の原則に立ち返り、契約不適合に関する通知は、買主が不適合の事実を知ってから1年となります。本問は「当該建物の引渡しの日から2年間」となっているので誤りです。

少し分かりづらいかもしれないので、「個別指導プログラム」では、民法の規定もまとめて結局どういうことなのかを整理しています! これが頭に入っていれば、担保責任の特約制限のヒッカケ問題でも十分対応できるので、こっちを覚えておきましょう!!


Aは、Bから喫茶店で建物の買受けの申込みを受け、翌日、同じ喫茶店で当該建物の売買契約を締結した際に、その場で契約代金の2割を受領するとともに、残代金は5日後に決済することとした。契約を締結した日の翌日、AはBに当該建物を引き渡したが、引渡日から3日後にBから宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除が書面によって通知された。この場合、Aは、契約の解除を拒むことができない。

3・・・正しい

クーリングオフについて告知を受けた日から起算して8日を経過」もしくは「物件の引渡しを受け、かつ、代金全額を支払ったとき」はクーリングオフによる解除はできません。  一つ一つ見ていきます!

■クーリングオフについて告知を受けた日から起算して8日を経過しているか?
本問を見ると、クーリングオフについて書面を交付して説明された旨の記述がありません。もし、買受けの申込みのときに、クーリングオフについて書面を交付して説明されていてもなされたとしても、クーリングオフの通知までに8日間は経過していません。

■ 物件の引渡しを受け、かつ、代金全額を支払っているか?
クーリング・オフの通知をした時点で、Bは建物の引渡しを受けているが、代金の代金は支払っていません。

したがって、買主Bはクーリングオフによる解除が可能です。
つまり、売主Aは、Bによるクーリングオフによる契約の解除を拒むことができません。

上記解説は、クーリングオフを解く上での「考え方」を使っていません。 そのため、類題のヒッカケ問題が出たら間違う危険性があります。 クーリングオフで確実に点数を取るための考え方は「個別指導プログラム」で解説しています! 本試験で得点したい方はこちらの考え方を使って勉強を進めてください!

 


AB間の建物の売買契約における「宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくクーリング・オフによる契約の解除の際に、AからBに対して損害賠償を請求することができる」旨の特約は有効である。

4・・・誤り

クーリングオフによる解除が行われた場合、売主業者は、受領した手付金その他の金銭を速やかに返還しなければならず、宅建業者は「損害賠償金」や「違約金」の請求はできません。損害賠償請求等ができる旨の特約をしても無効です。

この点は対比して学習していただきたい部分があるので、その点は「個別指導プログラム」で解説しています!

令和6年度 個別指導開講

平成27年度(2015年)宅建試験・過去問

問1
民法の条文
問2
通謀虚偽表示
問3
賃貸借と使用貸借
問4
取得時効
問5
占有
問6
抵当権
問7
抵当権の処分
問8
同時履行の関係
問9
転貸借
問10
相続
問11
借家権
問12
定期借家権と普通借家権
問13
区分所有法
問14
不動産登記法
問15
都市計画法(開発許可)
問16
都市計画法
問17
建築基準法(建築確認)
問18
建築基準法
問19
宅地造成等規制法
問20
土地区画整理法
問21
国土利用計画法
問22
農地法
問23
相続時精算課税制度
問24
固定資産税
問25
地価公示法
問26
宅地建物取引業の定義
免許の要否
問27
免許の基準
問28
媒介契約
問29
重要事項説明
問30
媒介契約
問31
35条書面の記載事項
問32
35条書面の記載事項
問33
報酬計算
問34
8種制限
問35
宅地建物取引士
問36
8種制限
問37
業務上の規制
問38
37条書面
問39
8種制限
問40
8種制限
問41
業務上の規制
問42
営業保証金と保証協会
問43
監督処分
問44
案内所
問45
住宅瑕疵担保履行法
問46
住宅金融支援機構
問47
不当景品類及び不当表示防止法
問48
統計(省略)
問49
土地
問50
建物
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